Friday, October 30, 2009

荻野美穂:ジェンダー化される身体(東京:勁草書房,2002)


ISBN:4326652640

ジェンダー二元論の規範の中で、“女”や“男”の身体はどのように生き、抵抗してきただろうか。
生物学的宿命論もバトラー流の幻想論も拒否して“女”の身体にこだわる。

序章性差を持つ身体の構築
第1章性差の歴史学―女性史の再生のために
第2章産むも地獄、産まぬも地獄の…
第3章身体史の射程―あるいは、何のために身体を語るのか
第4章女の解剖学―近代的身体の成立
第5章フェミニズムと生物学―ヴィクトリア時代の性差論
第6章男の性と生殖―男性身体の語り方
第7章子殺しの論理と倫理―ヨーロッパ社会史をもとに
第8章「堕ちた女たち」―虚構と実像
第9章性の衛生学―ヴィクトリア朝の買売春と性病
第10章美と健康という病―ジェンダーと身体管理のオブセッション
ジェンダー化される身体とは、<女>および<男>という性のちがいが、所与の大前提として認定された文化の中で、それにそって訓育され、立ちあげられ、生きられていく身体のことをさす。本書は、このジェンダー化される身体についての歴史をテーマとしている。何が<女>または<男>という性の特質・本質であるかという理解は、時代や文化によって異なる。ジェンダーに印づけられた身体は、実際に人々のからだにおいて具体的にどのように演じられ、生きられてきたのか――性差、生殖、美と健康などの観点から身体の歴史を

【目次】
序章性差を持つ身体の構築
はじめに
1フェミニズムと身体の問題化
2セックス/ジェンダー二元論のパラドクス
3ポストモダン・フェミニズムの身体論
4プロセスとしての身体
おわりに

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第1章性差の歴史学―女性史の再生のために―
はじめに
1女性史とフェミニズム
2女の身体感覚
3避妊・堕胎考

第2章産むも地獄、産まぬ地獄の...
1進化の不条理
2生殖と権力
3「解放」とは何か

第3章身体史の射程―あるいは、何のために身体を語るのか―
はじめに
1「身体を歴史的に見る」とは
2「性」を持つ身体
3「男」という身体へ

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第4章女の解剖学―近代的身体の成立
はじめに
1前近代の性差観
2新しいモデルの形成
3性器としての女
おわりに―まとめと展望―

第5章フェミニズムと生物学―ヴィクトリア時代の性差論
1科学的性差論の背景
2科学的性差論の系譜
おわりに―女たちの反応―

第6章男の性と生殖―男性身体の語り方―
はじめに
1男が語る「男の性」
2「他人事」としての生殖、あるいは「やりっぱなしの性」
3男にとっての避妊と中絶
4環境ホルモン・男性不妊・生殖テクノロジー
おわりに

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第7章子殺しの論理と倫理―ヨーロッパ社会史をもとに
はじめに
1キリスト教化以前
2キリスト教世界の子殺し
3養育院と里子
結びにかえて―子殺しをどう読むか―

第8章「堕ちた女たち」―虚構と実像―
1トリスタンの見たロンドン
2娼婦の数と定義
3買売春とダブル・スタンダード
4ステレオタイプその1―犠牲者としての娼婦―
5ステレオタイプその2―汚染源としての娼婦―
6ある女工の話

第9章性の衛生学―ヴィクトリア時代の買売春と性病―
はじめに
1娼婦の数と生活
2CD法の成立と性病
3CD法とダブル・スタンダード
4マドンナとマグダレン
おわりに

第10章美と健康という病
1<女性美>の一世紀
2<スリムな女>の意味するもの
3フェミニズムの役割
4美と健康と男の身体

あとがき
引用・参考文献
索引

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